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モノころがし

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聖剣伝説4 第1章 【2】

ほろびの日まで、あと615日。


パンッ
目の前で鳴った音、
それが、目の前で手を叩かれたものだと分かるまでしばし。
そこで初めて、自分がぼんやりしていたことに気が付いた。
「…おいおい隊長がこんなとこで何ぼんやりしてるんだよ?」
叩いた手を目の前で合わせたまま、あきれ顔の友人を見上げ、グランスは小さく頭を振った。
「あ、すみません。半分寝てました」
「寝てましたってお前ね」
導きの塔下層。
守人の訓練所として使われているこの施設は、今、阿鼻叫喚の巷と化していた。
要するに、新入りの訓練中である。
謎の上昇気流に足をすくわれ、また一人尊い新入りが視界から消えた。
「…前から思ってたんですけど、この施設、もうちょっとソフトになりませんか」
安全地帯で頬杖つきながら呟くグランスに、
友人は、まあ確かに、と相づちを打ち、その横に腰をかけると、
「しっかし、何でまた最近そんなぼーっとしてんだ?」
聞いた。
「巫女様んとこ行ってから何か変だぞお前。
 あんまり美人じゃなかったんでがっかりしたとか?」
「大樹の巫女に何を期待してるんですかあなたは」
あきれて言って、そしてふと思った。
自分は。
一体何を期待していたのだろうか。
あの、少女と言っても良いようなあどけない人に。
「……すいません、ここ任せます」
「は? おい、どこ行くんだグランス!?」
呼び声を置き去りにして急いだ。
あの、大樹の洞で待つ人のもとへ。

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