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モノころがし

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聖剣伝説4 第2章 【4】

抜き打ちざまにグランスが放った一撃は、斥候の男一人を一瞬で昏倒させた。
「ちぃッ」
斥候隊の長とおぼしき男が帯びた剣へと伸ばした手は、その剣を抜いたとみた瞬間、氷の蛇に弾かれた。
グランスが持つ「魔が歌」の異名は伊達ではない。
歌のように響く呪文に導かれるように、蛇は剣を攫い、空へと消えた。
弧を描いて、地面に刺さった剣の束には氷狼の紋。
(ロリマーか…)
どうやら、北の国からはるばるお出で下さった兵のようである。
バランスを崩した隊の長は、それでもどうにか体勢を保ち、呆然としているもう一人の部下へと怒鳴りつけた。
「行け!」
その声にはじかれたように懸けだした兵の手には、イルージャの測地結果と見られる紙の束。
とにかく情報だけ逃がすつもりのようだがそうはいかない。
逃げる兵の足元へ友人が放った矢が足止めのくさびを打ち込むのを確認、グランスは手の中に戴いたままのサラマンダーの力を掲げて見せて微笑った。
「…さて。もう終わりですか?」
内心の小さな不満を語尾に漂わせて聞くグランスに、長の男は悔しげに顔を歪めた。
向こうでは友人が、取り押さえた兵の顔を覗き込むようにし、
「それ置いて帰んな。命まで取ろうってんじゃないんだからさ」
部下の兵はそう促され、一瞬逡巡したようだったが、ややあって、紙の束を差し出した。
ほっとした様子を隠しもせずに友人がそれを受け取るのを横目で見て、隊長格の男へ向き直る。
「気が済みましたか?」
あっけない。
グランスは肩をすくめて相手を見下ろし、そして気付いた。
「おのれ…!」
歯噛みするその男の肩は震えていた。
恐怖のそれではない。
狂気にも似た色が、その顔にはあった。
そしてその手には、握り拳程度の大きさの黒い球体。
「隊長!?」
叫んだのはその部下。
その声には、尋常のことではない恐怖の色が混じっていた。

ふとグランスは、師の言葉を思い出していた。
ロリマーに対峙する時があったら、絶対に気を抜くな、相手の自尊心を傷つけるな。さもないと

「お前たち蛮人に…!
 我が国の栄光を汚させるものか!!!!」

奴らは何するかわかったもんじゃないよ。

「グランス!」
友人の声がいやに遠く聞こえた。
ぐいと腕をつかまれた気がする。

閃光が森に溢れた。
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