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モノころがし

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聖剣伝説4 第3章 【1】

幸せになるためじゃなく。


ほろびの日まで、あと522日。


「あちー」
ぽかぽかと暖かい昼下がり。のハズが、どうした訳か照りつける太陽はひたすらに厳しい。
常春のイルージャにあるまじき気温、元気がいいのは麓の旅人の木ばかり、である。
「お前さあ…よくそんな格好でいてられるな暑くない?」
そう聞かれてグランスは押し黙る。
縒り糸できちんと着こなす守人の衣装は、それなりに風のとおりやすい作りになっているとは言いながら、それでもやはり暑い日には暑いのである。
脱ぎたい。できるものなら楽になりたい。
しかしその横で、友人や守人双子やらに半裸で暑い暑いを連呼しながらダベられてしまっては、かえってこちらの温度は下がる。
あまり輪に入りたくない風景であった。
「そんなに暑かったら、精霊に風でも送ってもらったらどうなんです」
投げやりにそう言うと、もうやってる、と友人。
「けどちっとも涼しくないんだコレが」
精霊も参っちまってんのかねこの暑さに。
そう言ったきり、木陰に寝そべり動かなくなる。
横では双子がごつい体をゴロンと横たえている。その姿は、先日読んだ本で見た極地の生き物に似ていたが、見ていて涼しいものでもない。
処置無し、と諦めて、グランスはその場をあとにした。
幸いここ数日、他国からの侵入者は途絶えている。
嵐の季節までもいま少し間があった。
何事もない今の内に休んでおくのも、守人にとって悪いことではないだろう。


……何事もない?


ふと、違和感を覚えた。
そうなのだろうか?
何故そう思ったのかはわからない。
特に気になることがあったわけでもない。
けれど。
「精霊も、参っている、か…」
試しに、ウンディーネの力を少しだけ喚んでみる。
返ってくる手応えはどこか頼りない。
手の中に残った雫を払った。
小さな不安は、雫とともに振り払われてはくれなかった。
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