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モノころがし

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【2】続・勇者の子守りは楽じゃない

 一見ゴロツキくんたちの話によるとこうだ。

 最近、この近辺で、「あるもの」が片っ端から盗まれるという不思議な事件が起こっていた。
 善良な周辺住民である彼らは、体力と筋力にモノを言わせて、自力捜査に乗り出した。
 そして捜査開始から1週間。
 怪しい余所者が人家を伺っているのを見つけ、容疑者逮捕、の運びになるハズだったところを、ジェマと俺にボコられたという訳だ。
 一見ゴロツキくんもとい、善良な周辺住民には悪いことをした。
 悪いことをしたとは思う。が。
「だからって何で俺らが協力することになるんだよ…!」
 小声で抗議する俺に、
「困ってる人をほうっておくわけには行かないだろ」
 原初からの真理のごとく当然のよーに言うジェマ。
「だからってこんなとこで時間くうわけにはいかねーだろうが!
 何のためにここに来たんだお前は!」
「人助けができれば何のためでもいいです俺は!」
 そうこいつは手段のためには目的を選ばない。
「おーまーえーなー。
 向こうだってお前みたいなガキ使わなくても他に用心棒雇ってるって話じゃねーか!
 っていうかここの住民そのものが用心棒になるために生まれてきたような外見してんじゃねーか!
 別に何の心配もねえだろ!」
「その事なかれ主義!
 お前それでも正義の味方!?」
『あのー』
「誰が正義の味方だ、俺がいつそんな恥ずかしい存在になったよ! 一人でやれ一人で!」
『……失礼』
「そう言うなよボガードー。仲間だろー。友だちだろー」
『すみません……』
「初めて会ったときはあんな無愛想だったクセに何言ってんだ! だいたいな、お前は」
『…ちょっと!!!!』
 大声で話しかけられ、振り向けば、肩をいからす女の子の姿。
 彼女は努めて笑顔で奥を指し、言った。
「事件の概要について向こうでお話します。よろしいですね?」
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