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モノころがし

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たゆたい

くるり、と闇の渦がまたうねった。
暗がりと静けさのなかで、それだけが単調に繰り返される。
くるり、くるり。

どれくらいの時が経ったかなんて、「こっち」に来れば意味がないのだと初めは思った。
でも違う。
少しずつ近づいてくるものがある。
もう手を伸ばせば届くくらいのすぐそばにある、闇の渦だ。
それでもここを動けない。
動きたくない、というのでも、もうない。
ただ、一歩も動けなかった。

ふと、見遣る。
そこにはひとつの人影がある。
ここに来てから、ずっとそこに。
他にも、いくつもの気配が潜んでいるのを感じるのだけれど、そこにいるのがはっきりと分かるのは彼女だけだ。
金色の髪に少し隠された横顔は、遠い思い出の中の幼なじみを思い出させた。
けれど、こちらを振り向いた彼女の顔には寂しげな笑顔が浮かんでいた。
今は、こんな風に笑っているのだろうか。
あの、幼なじみも。

「もう、ここを離れた方がいいんじゃないか?」
何度目か分からない言葉を、彼女に投げた。
いつもと同じように彼女も笑む。
「あなたもね。ここにいるべき人じゃないでしょう」
お互いに分かっていた。もう時間がないこと。

彼女にも、自分にも、遺してきたものがある。
ここに踏みとどまらせるものは、生に対する未練ではなかった。
そんなものが持てるのは、「あっち」にいる時だけのことで、「こっち」に来てしまえば、もう関係ないはずなのだ。
自分も、大切な人も、守るべきものも。
それでもここに居続けている。
彼女も、自分も。

「きっとね」
彼女は笑う。
「一緒にいてあげたかったの。いつまでも、ずっと」
そう、と相づちを打つ。
自分は少し違う。
いつまでも、一緒にいるものだと思っていた。
みんな一緒に、あの穏やかな時間が続くのだと思っていた。

くるり、と闇がうねる。
時がくれば、全てを呑み込んでいくだろう。
そこに救いがないことは分かっている。
そして更にその先にある、あるかもしれない救いは、まだ、あまりにも遠かった。


**********

チルドレンオブマナ、プレイしてきました。
最終章で声が届いた4人(人?)のうち、1人は聖剣4のエンディングの時点で何故か復活しててあれェェェ死んだんじゃとびっくりしましたが、チルマナではまた2人がナチュラルに復活しててこいつら不死身かと!
そして帰還せし者に会いました。
あれどういうこと!?
災厄で死んだ皆って、あんなんなっちゃうのですか…。

あれは悲しすぎました。10年もだなんて。
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Material by 箱庭マナ工房 / ATP's 素材置き場  Powered by [PR]
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