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モノころがし

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聖剣伝説4 氷狼の子【2】

「聞いていいか?」
暖かい日の光が差し込む前庭で、彼女は旧友と二人座っていた。
両者とも、手には愛剣。
この国では珍しい陽気に誘われて、表で剣の手入れとなったわけである。
「何?」
応じて、優しく刃をこする。
王妃の座に座ってからはあまり剣ばかり振るってもいられなくなったが、この剣の手入れだけは欠かしていない。
この旧友と二人、国の戦果を分け合っていた頃からのお気に入りの剣だった。
「お前、何だってあんなにあのガキに肩入れしてるんだ?
 血もつながってない、かわいげもない、噂によると血も涙もないガキだぞ」
「アンタ不敬罪」
やれやれ、と首を振る。
「このロリマーで騎士やってるくせにアンタはいつまで経ってもその調子ね」
「真っ昼間から目茶目茶幸せそうな顔で剣磨いてる王妃に言われたくないぞ」
にらみ合うことしばし。
彼女は磨き終わった剣を、腰の鞘に収めた。
空を見る。少し考える。
「何かねえ…。寂しそうに見えたのよね。初めて会ったとき」
もし本人に聞かれたら、親の仇みたいに嫌われそうだと思いながら、そう答えた。
相手の旧友の方はというと、表情を固まらせてそんな彼女を凝視していたが、
「寂しそう? アレが? 
 安心しろ、それは気のせいだ」
断言した。
「はっきり言うわねー」
「それはそうだろう。あのトシで、泣いてるトコなんて一度も見せたことがないって話しだぞ」
「伝聞じゃないの」
まあそれはそうだが、と小さくため息をつく旧友。
ホントのところは、きっと分からない。
自分にも分からない。
けれど、初めて会って、あの蒼い瞳を見たときに何故か強く思った。

守ってあげたいと。

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