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聖剣伝説4 氷狼の子【6】
かつて自分が迷ってしまったばかりに、失ってしまった多くの命。
迷うことを許されないその立場。
そのために味わった多くの苦しみ。
それを知るが故に、自分の跡を継ぐ者にはそんな思いをさせたくないと思うこと、迷わずに済むよう、幼いうちから強く育てようとすること、それは確かに、父王なりの愛情だろう。
それは、わかる。理解は、できる。
それでも。
「ストラウド」
声をかけると、ビクっとして、そして振り向いたその顔には、まずいところでみつかった、というような顔。
苦笑した。
「そんなとこで何してるの」
「べつに」
そっぽを向く彼の後ろで、この間一緒に摘んだ花が花瓶におさまっている。
風もないのに小さく揺れていた。
「お花。気に入った?」
「全然」
そう、と笑うと横に並んだ。
「また一緒に植えようね」
「……」
「これからもさ、ずっと」
返事はない。
花に手を伸ばし、一輪かざした。
「ああ……。染まったね」
白い花は、薄紅へとその色を変えていた。
ときは降り積む。
永遠を望む者にも、分け隔てなく。
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