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モノころがし

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約束

「この世界を手に入れる」
城の高みから遥か下界を見下ろし、その人は言った。
「その時には、力を貸してくれ。頼りにしている」



彼に拾われたのはまだ物心もつかない頃。
子どもの頃は兄、時には実の親のように慕っていたと思う。
「影」を名に持つ彼の「影」、
それが自分の役目だと信じていたし、今だってそうだった。
遠い時の彼方に消えた血族が、自分に託したものを知らないでいられたとしたら。


今、あの人は戦っている。
赤い鎧の少年。
あの少年との因縁に決着をつけるために。
勝敗は五分五分だろう。
期待がある。
自分の使命を果たすためには最も都合のいい、相討ちには…
ならないだろう。おそらく。歴史はそれを許すまい。
もとよりそんなつまらない結末は期待していなかった。
あるいは赤い鎧の少年が勝つことを、自分は期待しているのかもしれない。
ほんの少し、行を共にしただけだが、いい目をした少年だ。
…彼を倒して、自分の使命を果たすのも悪くない。
そして、あの人が勝ったなら…
あの時、あの人は「頼りにしている」と言い、自分は「お任せください」と頷いた。
遠い日の約束だ。
使命と約束と、どちらを選ぶべきかは、今繰り広げられているはずの戦いが決めるだろう。


ややあって、こちらへと駆け上ってくる足音を聞いた。
振り向かなくても分かる。
自分の名を呼ぶその声に、思わず笑いが込み上げる。

運命は決した。
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